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劇的3時間SHOW 市川亀治郎さん [その他]

▼劇的3時間SHOW
http://www.geki3.jp/cast_ichikawa.php

▼trendy.netより
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/news/20091007/1029469/

PARCO歌舞伎以来の、生亀様を拝んで参った!
ファンクラブか何かで告知したのだろうか?
客層に偏りがあったようにも。40-50代女性の層が多く見られたようにも。

舞台正面には過去公演写真が並び、左右には映像幕。

プワーーーと白煙と共に亀様登場なさるに、
やはり圧倒的なパワーというか、オーラ。あんなに、華奢で小柄でいらっしゃるのに。

出鼻より亀様ご自身、インタビューがあまりお好きではなく、
意味もない、面白くもない質問に答えるのがとにかく面倒なので適当に答えているのだと...

そんな亀様が唯一心を許しているという演劇ライター、清水まりさん。

今回はそのお二人の対話が展開された。

(その清水まりさんといえば、PARCO歌舞伎時のコラムもかかれていましたね。)
http://www.asahi.com/culture/column/kabuki/TKY200610020253.html

はじめに亀様ご自身による市場調査。

「どこで自分を知ったのか?」

やはりここ最近テレビでの活躍が多いせいか、
圧倒的にテレビ層が多いようだ。
歌舞伎を見た事がある層は半数ほど、100回以上歌舞伎をみた人は数人パラパラという感じ。

その後は、幼少期の話から、2006年頃の転機までをざざっと映像を見ながら振り返った。

幼少期のエピソードで印象的だったのは、

・何事も形ではなく間を大切にすることを教わった。
 形が多少ことなるものはリカバリーできる。間が悪いことが最もいけない。

・とにかくハデなことがやりたかった。
 子役特有の?ハゲたかつらをかぶるのがかっこわるくてイヤだから、
 そのかわりに女形のキレイな衣装と引きかえに我慢してやった。

こうした逸話を話す節々に感じることは、
亀様ご自身も日常的に『間』を意識されているせいか、
非常にテンポよくトントンと話が展開される心地よさがあった。

また、体験をお話しになる際に、
図らずとも他人のモノマネを上手になさる様が見てとれ、驚いた。
自分の知るところによる、三谷幸喜さんや蜷川幸雄さんのマネなんてそっくりだった。
声やジェスチャーでまねるのではなく、正に『間』がソックリと感心。

私自身、2006年のPARCO歌舞伎にて亀様を知ったため、
転機となるその時期の体験、特に上記の演出家とのやりとりが聴けたことが貴重に感じた。

あの、稽古ではすこぶる恐ろしい蜷川さんが歌舞伎の伝統を重んじてか、
温和でいらっしゃったとか。

転機となった、PARCO歌舞伎。
歌舞伎特有のリズムやイントネーション、間など、普通に鑑賞したらば面白いわけでも
何ともない部分を三谷さんによって引き出されたとのこと。

また、ダイジェスト版で過去作品を鑑賞できたこともうれしかった。
歌舞伎オペラ座パリ公演にて、歌舞伎調のフランス語で完璧に挨拶される様...
かなりおかしくて、これだけでも芸として完璧!と唸るほどに。

総じて、生亀様の空気を感じて聴けた話ひとつひとつに重みがあった。
なんというか、口語が美しく、滑舌がよいことも相まっているのだろうか。
日常的に古語を多用されていることもあり、語彙が豊富でいらっしゃるのだろうなとも感じる。
逸話としてもお話されていたが、さらりと古語がでてくるさま、
例えば『さすればこそ』など。亀様を通じて、古くからある日本の言葉は口に出すと、
こうもきれいに聞こえるものかな、と密かに古語へのあこがれを持ったのであった。

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後半は亀様の哲学のお話があったようだ。
私事により後半は聴けなくて。もったいない。
でも充分に楽しめたSHOWだった。




7/29 16:00〜「THE BEE」NODA・MAP番外公演 千秋楽 [演劇]

7/29 16:00〜「THE BEE」NODA・MAP番外公演 千秋楽

「THE BEE」NODA・MAP番外公演 ロンドンバージョン
原作:筒井康隆~「毟りあい」(新潮社)より~
脚本:野田秀樹/コリン・ティーバン
演出:野田秀樹
出演:キャサリン・ハンター/トニー・ベル/グリン・プリチャード/野田秀樹
会期:2007年06月22日(金)~2007年07月29日(日)
場所:シアタートラム
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2007/06/thebee.html
http://www.nodamap.com/02thebee2/gaiyou.htm
---------------------------------------------------------------------------------
□summary
筒井康隆の短編「毟りあい」を、野田秀樹とアイルランド人作家コリン・ティーバンが戯曲化し、昨年のロンドン初演で大評判となった注目の舞台が日本初登場。初演時と同じく野田が自ら演出・出演を担うのはもちろん、今回は新鮮な顔合わせの日本人キャスト版とロンドン初演時のキャスト版を連続上演します。
(シアタートラムサイトより引用)

□impression

日本語バージョン1回、
ロンドンバージョン2回目の千秋楽。

台詞はもとより、劇中の神妙なリズムを感じながらに観劇した。

印象的だったのは、1回目でその大きな存在感を捉えるに足らなかった
“百々山(どどやま)”の刻むリズムである。

最後の儀式のオーバーラップ、
百々山の思考リズムは下記のように体現された。

◎右手に指左手にハンカチ
  ↓
◎リズムにあわせて揺曳
  ↓
◎舞台を左から右へ
  ↓
◎舞台を右から左へ(途中で帽子を取り、頭を一拭き)
  ↓
◎思考の切り替え。

この一連のリズムが、
3/4拍子の音楽と真紅の舞台と相まって、
能動的とも受動的ともとれるような、絶妙な浮遊感を醸していた。

一見重々しい風貌の百々山が、ややもすると
地面から足が浮いて飛んで行ってしまうのではないか、そんな虚像がクリアに見えた演出だった。

あまりにも静かに終わってしまうラスト、
身近にあるようだが無い現実が最後に灯る、そんな印象を持った。



7/22 19:30〜「THE BEE」NODA・MAP番外公演 [演劇]

「THE BEE」NODA・MAP番外公演 ロンドンバージョン
原作:筒井康隆~「毟りあい」(新潮社)より~
脚本:野田秀樹/コリン・ティーバン
演出:野田秀樹
出演:キャサリン・ハンター/トニー・ベル/グリン・プリチャード/野田秀樹
会期:2007年06月22日(金)~2007年07月29日(日)
場所:シアタートラム
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2007/06/thebee.html
http://www.nodamap.com/02thebee2/gaiyou.htm
---------------------------------------------------------------------------------
□summary
筒井康隆の短編「毟りあい」を、野田秀樹とアイルランド人作家コリン・ティーバンが戯曲化し、昨年のロンドン初演で大評判となった注目の舞台が日本初登場。初演時と同じく野田が自ら演出・出演を担うのはもちろん、今回は新鮮な顔合わせの日本人キャスト版とロンドン初演時のキャスト版を連続上演します。
(シアタートラムサイトより引用)

□impression

近年観たお芝居の中で
確実に5本の指に入る、印象的な芝居でした。

かつてロンドンにて公演がなされた時から
待ちに待った・・・「THE BEE」ロンドンバージョン。

目下に広がる舞台美術が
日本バージョンと全く異なり、
鏡面に赤色が反射した、美しくも冷酷に燃えたぎる有様を感じました。

もちろん今回最も期待に胸を躍らせていたのは、
生 “キャサリン・ハンター” にお目にかかれること。

でてきた瞬間に、“怪物女優”としての威厳、
小柄で筋張った、軽快な身のこなしにやられた。 この辺は野田さんに近しいものを感じる。

逆輸入のこのお芝居で、
キャサリンに代われる日本の女優がいるのかと想像するのは、
あまりに酷すぎる。。

日本バージョンよりも鮮明に
印象に残った場面は、
最後の儀式での井戸、小古呂の妻、百々山。

ここでは、透き通った鏡面の裏に百々山が見えるのですが、
鏡面であるがゆえに、百々山が複数人差し迫ってくるようにも見えました。
そして、客席のわたしたちもいつのまにか、鏡面ごしに、舞台の上にいるわけです。

いつだかのインタビューで野田さんは、
暴力の連鎖への説明は極力カットしたという類いの話をしていましたが、
確かに説明はないのです。
いとも淡々と井戸、小古呂の妻、百々山が儀式をなし、
壁にボールをぶつけると、必ずそれは返ってくるというような。
行為自体に身を任せると、自分の存在自体、認識があやうくなり、
行為に則った連鎖が続く。
それって確かに説明を付けること事体がナンセンスなのかもしれない、、

だが連鎖するからこそ、現実として終わり得ない。

だから結果として、記憶に残る芝居。
説明し得ない・・・となったようにも思います。

身近に潜む問題であるからこそ、
なかなか記憶から離れませんし、蘇ってきますね。
「THE BEE」。

★P.S.
ハチャトリアンの「剣の舞」をパロっていた、あの気になる曲、
どうやら・・・

歌:尾藤イサオ
作詞:なかにし礼

だそうです。

**************************
好きか嫌いか 嫌いか好きか
はっきり言いなよ 今すぐ目の前で
惚れてしまえば 男は弱い
奴隷か騎士か 囚われ人の身か
それに較べて お前は素敵
ペルシャの女王か トルコの姫君か
**************************

や、やばい。耳からこの歌が離れず・・・・
こりゃぁ買いでしょう。。 

指す〜指す〜指〜すぅ〜〜〜♪

伊集院光選曲 おバ歌謡

伊集院光選曲 おバ歌謡

  • アーティスト: オムニバス, 神谷勝也, ドン神谷, 白木みのる, ローレン中野, 和田弘, マヒナスターズ, 尾藤イサオ, 由美かおる, GAL
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2004/06/16
  • メディア: CD


6/29 19:30〜「THE BEE」NODA・MAP番外公演 [演劇]

「THE BEE」NODA・MAP番外公演 日本バージョン
原作:筒井康隆~「毟りあい」(新潮社)より~
脚本:野田秀樹/コリン・ティーバン
演出:野田秀樹
出演:野田秀樹/秋山菜津子/近藤良平/浅野和之
会期:2007年06月22日(金)~2007年07月29日(日)
場所:シアタートラム
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2007/06/thebee.html
http://www.nodamap.com/02thebee2/gaiyou.htm
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□summary
筒井康隆の短編「毟りあい」を、野田秀樹とアイルランド人作家コリン・ティーバンが戯曲化し、昨年のロンドン初演で大評判となった注目の舞台が日本初登場。初演時と同じく野田が自ら演出・出演を担うのはもちろん、今回は新鮮な顔合わせの日本人キャスト版とロンドン初演時のキャスト版を連続上演します。
(シアタートラムサイトより引用)

□impression

戯曲をはじめて読んだ時同様、
「残る」「ひっかかる」という
印象の強い芝居であったように思う。
効果的な音響が今でもふと聞こえてくるような気がして
それに追随する映像が鮮明に蘇ってくる。

先立ってロンドンにて公演されたときとは全く別物として
演出を施された舞台だそうだ。

目下には舞台全面を覆うかのような大きな模造紙がぶら下げられ、
その紙を街の中、壁面、家具等に見立てて、話が展開される。

野田秀樹演ずる井戸以外のキャストは1人で数役を
入れ替わり立ち代わり演じ、
はじめはその滑稽な有様に客席からも笑いが漏れるが、
徐々にそれは緊張の走る儀式へと転じていく。

被害者から悪人へと転ずる井戸が、加害者である小古呂のその妻に発する抑圧と
それに従わざるを得ない妻の有様。
または、犯人の小古呂と井戸。
力で抑圧し合うことの連鎖が続いていく。

この部分は
戯曲を読んだ際、女性として解釈するには非常に辛く、
これが舞台ではどのように表現されるのか…期待をしていた部分でもある。
案の定、舞台上ではいとも冷淡に刻々とその儀式が表現されていた。

かつて、『痴漢に対し、声をあげない女性が悪い』という意見をメディアに発した男性に対して
なんとも胸くその悪い思いをしたことがあった。

それが、今回の舞台における『蜂』の存在、
井戸が異常なほどに恐怖を示すものとは、
抑圧された恐怖の象徴なのではないかということに
少し繋がったような気がした。

そう思えた事で、『恐怖』ということに対し、少しの安堵感と普遍さを感じた。





「THE BEE」(戯曲)-野田秀樹+コリン・ティーバン [演劇]

新潮 2007年 07月号に「THE BEE」の戯曲が掲載。
後半部の舞台の作りはどうなるのだろう。。。期待は膨らむ。

日本バーションとロンドンバージョンの配役が楽しみ!!
なので、、、ちょっとまとめておきます。



新潮 2007年 07月号 [雑誌]

新潮 2007年 07月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/06/07
  • メディア: 雑誌

新潮 2007年 01月号 [雑誌]

新潮 2007年 01月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/12/07
  • メディア: 雑誌


ル・コルビュジエ展:建築とアート、その創造の軌跡 [芸術]

■ル・コルビュジエ展:建築とアート、その創造の軌跡 
会期:2007年5月26日(土)〜9月24日(月・祝)
場所:森美術館
http://www.mori.art.museum/contents/lc/index.html
---------------------------------------------------------------------------------
□summary
建築界の巨人、近代建築の始祖、20世紀最大の建築家−さまざまな呼称を冠せられるル・コルビュジエ(1887-1965)。彼はまた多くの絵画や彫刻を生み出した一人の画家でもありました。本展ではル・コルビュジエの人間としての魅力を通して建築、絵画、家具までの多彩な業績を約300点の作品で紹介し、これまであまり知られることのなかった素顔のル・コルビュジエ像に迫ります。
(公式サイトより引用)

□impression

展示は大きく4部構成。

1:絵画、彫刻
2:素描
3:建築
4;都市計画

展覧会冒頭に現れるのが、
パリのアトリエを実寸大で再現した空間。
ゆるやかな曲線に、明るい光の差し込む小さな装飾ガラス。
そして広々とイーゼルを置くスペースの向こうには、
落ち着いて調べものができそうな小さな書斎空間があった。
本展示で私が最も印象に残った小さな空間である。

コルビュジエは、午前中はここで絵を描き、午後は事務所で建築の仕事をしていたそうだ。
本業以外の“創造の時間”、コルビュジエの人間らしい行動の一部を垣間みれたような心持ちになった。

後半部の建築、都市計画部分では、
図面、大型模型、映像、
さらには実寸模型に入ったり、出たり…を繰り返すことで
充分な実体感ができる。

キャドセンターと森美術館コラボのキャド映像には圧巻だった。
概念を説明しながらに抜けのある空間を、リズミカルに展開し、
ドミノ倒しのような、心地よさを感じながら、
最後、サヴォア邸の場面ではエリック・サティのジムノペディの
簡素で愁いを帯びた旋律に、心を任せながらのフィニッシュであった。


サヴォア邸
画像:wiki(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BB%E5%83%8F:Villa_savoye_cote.jpg


ロンシャン教会
画像:wiki(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BB%E5%83%8F:Ronchamp.jpg

本展示で何度も登場した、黄金比については帰宅してから調べてみた。

▼黄金比
最も美しいとされる比。
a, bの長さで 2 つに分割するときに、a : b = b : (a + b) が成り立つように分割したときの比 a : b
近似値は1:1.618、約5:8
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%84%E9%87%91%E6%AF%94

▼モデュロール
コルビュジエが、人体の寸法と黄金比から作った建造物の基準寸法の数列。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%A5%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB

人は日々様々な事物を向き合い、共存しているわけだが、
本展示では、その暮らしの中にある最も基本的な部分を無駄のない形で気付かされた。
そして、無駄を省く事で見えてくるものは何かと改めて自分自身に問いかけた。

ル・コルビュジエ事典

ル・コルビュジエ事典

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 中央公論美術出版
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 大型本


ル・コルビュジエ―1887-1965

ル・コルビュジエ―1887-1965

  • 作者: ジャン=ルイ・コーエン, Chizuru Ono
  • 出版社/メーカー: タッシェン・ジャパン
  • 発売日: 2006/12
  • メディア: -


ル・コルビュジエ

ル・コルビュジエ

  • 作者: ノルベルト フーゼ
  • 出版社/メーカー: PARCO出版
  • 発売日: 1995/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


ル・コルビュジエ  機械とメタファーの詩学

ル・コルビュジエ 機械とメタファーの詩学

  • 作者: アレグザンダー・ツォニス
  • 出版社/メーカー: 鹿島出版会
  • 発売日: 2007/02/08
  • メディア: 大型本


ル・コルビュジエ―終わりなき挑戦の日々

ル・コルビュジエ―終わりなき挑戦の日々

  • 作者: ジャン ジャンジェ, 藤森 照信
  • 出版社/メーカー: 創元社
  • 発売日: 2006/02
  • メディア: 単行本


ル・コルビュジエの手

ル・コルビュジエの手

  • 作者: アンドレ ヴォジャンスキー
  • 出版社/メーカー: 中央公論美術出版
  • 発売日: 2006/12
  • メディア: 単行本


藪原検校 [演劇]

藪原検校
作:井上ひさし
演出:蜷川幸雄
音楽:宇崎竜童
出演:古田新太/田中裕子/段田安則/六平直政/梅沢昌代/山本龍二/神保共子/松田洋治/景山仁美/壤晴彦
会期:2007年5月8日(火)〜31日(木)
場所:Bunkamuraシアターコクーン
http://210.150.126.198/shokai/cocoon/lineup/07_yabu/index.html
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□story
時は今から二百年ほど遡る江戸中期の享保、塩釜の地。小悪党の魚売り七兵衛は、醜女だが無類に気立てのよいお志保を嫁にもらい一旦は改心するが、女房のお産の金欲しさに行きずりの座頭を殺して金を奪う。が、生まれてきた男の子は盲だった。「座頭をひとり減らしてまたひとり殖やしただけだ」とめぐる因果の恐ろしさに、七兵衛は自害する。生まれた子は、塩釜座頭・琴の市に預けられ杉の市という名前をもらう。手癖が悪く手が早い杉の市は、十三で女を知り、師匠の女房のお市にまで手をつける始末。ある日、難癖をつけて金を巻き上げようとする佐久間検校と言い争ううち、検校の結解(けっけ=目明きの秘書のこと)を刺してしまう。別れを告げに寄った母の家で、誤って母を刺し、駆け落ちしようとお市と共謀して師匠琴の市を殺すが、お市は瀕死の琴の市の返り討ちにあう。
一人になった杉の市は師匠から盗んだ金を携えて江戸に向かい、門下生になるために学者・塙保己市の元を訪れる。晴眼者以上に品性を磨くことを目指す塙保己市が、万事が金と考える杉の市を弟子にするわけもない。
その後、藪原検校に弟子入りし、貸し金の取立てで見る間に頭角をあらわす杉の市。そして二度目の主殺しをし、念願だった二代目藪原検校の襲名披露の日、彼の前に立ちふさがる影が………。
(公式サイトよりそのまま引用)

□impression
「天保十二年のシェイクスピア」に続き、
井上ひさし×蜷川幸雄×宇崎竜童が再結集!の舞台。

8日初日にしっかり観ていたにもかかわらず、
今更レビューです。

ここ最近、ゆるりゆるりと鑑賞をすすめた中でも
なかなかパンチの効いた舞台でした。

古田新太の、古田新太による、古田新太のための・・・
といっても過言ではないほどに、
初日とは思えないほどの完成度で
存分に笑わせてもらいました。

スムーズで心地よいナレーションや、
ギリシャ悲劇でいうところの舞踊合唱隊(コロス)のような掛け合いに
よって進行する話の展開により、
話の根源にある因果を含んだ憎しみや嫉妬が軽妙に語られ、
それが尚更に杉の市(古田新太)の孤独を表現するようで、
後半部は杉の市に同情心さえも抱きました。

こうあってこその生で観る価値。
心底思えた舞台でした。

お次は、野田地図(NODA・MAP)番外公演『THE BEE』!です。



写楽考 [演劇]

■写楽考
作:矢代静一
構成・演出:鈴木勝秀
出演:堤真一/高橋克実/長塚圭史/キムラ緑子/七瀬なつみ/西岡徳馬
会期:2007年4月5日(木)〜4月29日(日)
場所:Bunkamuraシアターコクーン
http://210.150.126.198/shokai/cocoon/lineup/shosai_07_sharaku.html
---------------------------------------------------------------------------------
□story
時は、天明4年(1784年)、江戸八丁堀の八軒長屋。同じ一つ屋根の下、目指す画風の違いから何かとぶつかる絵師見習いの「伊之」と「勇助」。そこへ転がり込んできた世直し浪人「幾五郎」。青春を謳歌する3人の若者。
しかし彼らの人生が、やがて一人の女の死を境に豹変する。

ーー月日は流れて寛政6年(1794年)。勇助は「多喜川歌麿」となって一世を風靡していた。その歌麿人気をしのぐ勢いで登場した謎の絵師「東洲斎写楽」。さて、写楽とはそもそも何者か? 彼がその人生に背負った運命とは?

ーーさらに月日は流れて天保元年(1830年)、信州は沓掛村。そこには、二人の浮世絵師と過ごしたかつての日々をしのぶ滑稽本作家「十返舎一九」の姿があったーー。

□impression
写楽と歌麿という同じ時代を生きた二人の天才を軸とした、人物模様を語るストーリー。

個々のキャラクター設定も明瞭で、展開もスムーズ。
そして高所暗みから聞こえる太鼓、笛の音色が、
その淡々とした演出に粋なパンチを醸していた。

人物相関を簡単にまとめると。。。
--------------------------------
★伊之(後の写楽)
 朴訥と血潮を感じさせる男。

★勇助(後の歌麿)
 真面目で繊細、冷静な常識人。

★浪人幾五郎(後の十返舎一九)
 のんきで大らか、陽気で調子がよい。

★店のおかみであるお加代
 お色気満載、熟女のしたたかさをもつ、肉欲的な奔放女。地位や金もある。

★捨て子のお米
 生真面目で幼く、要領の悪さと、割り切りの良さを見せるいじらしい存在。
--------------------------------
若い二人の芸術家の心を翻弄するお加代。
お加代は勇助に心惹かれるが、伊之の体をむさぼり、
そして自分の生んだ赤ん坊の始末に困って捨てる(後のお春)、、
最終的に交わったままに、死ぬことを望む、、、

勇助はお加代の死体を見た途端、猛然と絵を描き始める。
後々、頭角をあらわし名声を得る歌麿。

その後、俗世から姿を消していた写楽の作品が、世に現れ、評価が高まる。
死を目前に、完全にやつれた様子を見せながらも制作に没頭する写楽。

舞台は一転、
春の田園風景に変わる。(驚きを隠せない演出。。。)
そこにはお春と十返舎一九。
そして、たくさんの孫にかこまれるお米ばあさんを遠くに眺める。
ほのぼのと、人間の生き様を見守るような終幕。

ストーリーそのものの展開が単純明快であったせいか、
十返舎一九演じる、カツミさんの、
よい意味でのテキトー具合?がこの物語の調子をとっていた。

その、ナレーター的存在でもあったカツミさん含め
全体的に観やすかったことは確かであるが、
いわゆるテレビ的というか、
受動的な見方をしがちな舞台であることは否めない。

舞台美術がいかにも2D的であったところの改善要望含め、
感情移入ができる&想像を掻き立てるという意味での
舞台体験を考えるきっかけを掴んだ舞台。

久々レビューに苦戦。。
お次は『薮原検校』だ!!


チェコ絵本とアニメーションの世界 [芸術]

■チェコ絵本とアニメーションの世界 
会期:2007年2月10日(土)〜4月8日(日)
場所:目黒美術館
http://www.mmat.jp/
---------------------------------------------------------------------------------
□summary
チェコを代表する作家28名の原画や制作過程の資料、絵本など約250点(展示替えあり)によって、20世紀前半から今日までのチェコ絵本史を、アニメーション制作と絡めながら辿ります。
チャペックやラダなど草創期の作家から、近年チェコで注目を集めている最新鋭の作家たちまで、幅広くご紹介しながら、作品の背景にある民話の世界や、ブックデザインの中に映し出されたチェコ・アヴァンギャルドの芸術運動などを通して、東欧文化の様々な潮流を見つめ直します。また、日本未公開のアニメーション映画もみのがせません。
(本サイトより引用)

□impression
チェコを代表する作家28名の原画や制作過程の資料、絵本、アニメーションとあって見応え抜群の展示でした。

率直にチェコ作家の色感や構図のセンスは、触発されるものがあります。
それゆえ、原画でもってマチエールに触れる価値が大きいのではないかと感じています。

特に印象に残ったのはクヴィエタ・パツォウスカーの作品。
赤に緑という、補色を大胆に組み合わせた色面に
霧粉のような絶妙なグラデーションを、
エアブラシのような軽さでもって、重厚な質感で表現しているのです。
ただでさえ、目を引く作品であるというのに、
凝視すると要所にププっと笑えるコミカルな演出もあって、
いかにそれがコンセプチュアルであるかを発見していく
おもしろさがありました。

その他・・・
作品キャプションの横に、切手のようなものが付着しています。
なんだろう、これ?と思い
学芸員さんに聞いたところ、
どうやら出版社のマークのようです。
それにしても、緻密で凝った技巧を醸すなぁ〜と、
作品以上にそのちっちゃいマークに心惹かれました。

これから行く方はぜひ楽しんで見つけてみてください。

マッチ売りの少女

マッチ売りの少女

  • 作者: クヴィエタ パツォウスカー, ハンス・クリスチャン アンデルセン
  • 出版社/メーカー: ほるぷ出版
  • 発売日: 2006/05
  • メディア: 大型本


紙の町のおはなし

紙の町のおはなし

  • 作者: クヴィエタ パツォウスカー
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2000/06
  • メディア: 大型本


NODA・MAP第12回公演「ロープ」★千秋楽★ [演劇]

NODA・MAP第12回公演「ロープ」 [演劇]  
■NODA・MAP第12回公演「ロープ」
作・演出:野田 秀樹
出演:宮沢 りえ/藤原 竜也/渡辺 えり子/宇梶 剛士/橋本 じゅん/三宅 弘城/松村 武/中村 まこと/明星 真由美/明樂 哲典/AKIRA/野田 秀樹
会期:2006年12月5日(火)〜2007年1月31日(水)
場所:Bunkamuraシアターコクーン
http://210.150.126.198/shokai/cocoon/lineup/shosai_06_rope.html
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□story
ところは、四角いジャングル、プロレスリング。 そのリングの下に棲みついている女。彼女は、未来からやってきたと信じている。そして、不可解なほどに実況中継が上手かった。リングの上には、「プロレスは決して八百長ではない」と思いつめている独りのレスラーがいる。思いつめたあまり、引きこもっている。その二人の出会いが、物語のはじまり。やがて彼女は、戦う人間たちの「力」を実況し始める。その一方で、引きこもりのレスラーは、「力とは人間を死体に変えることのできる能力だ」という信念にとりつかれていく。そして、物語は遠い遠い未来へと向かっていく。だのに、この話は、決してサイエンスフィクションではありません。未来の話なのにSFではない物語。
(公式サイトより引用)

□impression
行ってよかった。千秋楽。
12月に観劇した時とは打って変わって舞台が変容していた。

▼1回目の観劇12月23日
http://blog.so-net.ne.jp/apollon/2006-12-23

正直なところ、1回目を観劇した際はっきりと真実をつかみ得ることができなかった。

今回プロレスのリングに比喩される
八百長であることからその作られたものの真実を探るところと
今ここで観劇しているリアルな自分との関連性を見いだせなかったことにある。

今思うに「物事の真実の単純化と定点化される大衆」。
そこに隠される人物関係、そしてひとりの人間の中に存在する二面性が肝だったように思う。
正にそれが『あったことをなかったことにする。なかったことをあったことにする。』の言葉に集約されるテーマでもある。

劇中あった
『漫画、プロレスに比喩された擬音語が、物事の真実を単純化し、
その奥に潜む真実は大衆には届きもしない。
また視聴率というわかりやすい反応が見える代わりに
定点化される大衆。』

野田さんの作品に代表される特徴である、一人の役者が数パターンの役を演じること。
それが今回は目に見えずして、一人の人間が自分の中で2パターンの役を交錯ながら演じていたのではないかと感じる。
「ユダヤ人の社長」は宮沢りえ演ずるタマシイ以外の人間に情報操作を仕掛ける存在。
ただしその姿は架空であり、本当は誰なのかはわからない。
これが、現代における戦争から、ドメスティックバイオレンスに至るまでの力の君臨する場所であった。
それを人ごととして観ている自分が真実を封印しているのか、
真実をわからないままに、真実を知るかのごとく虚を演じる自分がいるのか。
今更にしてやっと、身近に追随してくるテーマであったことに気づかされる。

今回の戯曲ではプロレスの覆面で顔を隠すという、
公的な場にしての秘匿性も巧みに表現されている。
それは今実際にブログを書く自分というところにもつながるごく身近なことでもあり、
思考によって作られた自分の存在にもしっくり当てはまる事実でもある。

野田さんの作品のもう一つの特徴である、社会的な事象と結びつく現代劇であるところは生身で表現者を感じたいと思う一因である。
舞台の役者と観客という立場を隔てて伝わるに、少なからずその過程で受け手は解釈を単純化することもある。それを経ても社会的な事象をこれほどまでに身近な感情に訴える作品に出会えたことは今までになかったように思う。

また、劇中大きなハプニングが2回もおこったことは大いに楽しむことができた。
本作品に至ってはそれが生身の人間を観ているというところを観客感じさせる演出としての要因もあったのでは?とも思う。(飛躍しすぎか?)実際ハプニングがおこった後の藤原くん、そして野田さんの素で楽しそうなところに観客としてほほえましく思ったし、それをアドリブでフォローしきる渡辺えり子さんの役者としての余裕は観ていて気持ちがよかった。

総括して、今回の千秋楽は肩肘張らないソフトな空気感が漂っていた。
それは特に派手でもなく、静粛でもなくて。

カーテンコール時のリズミカルな拍手に乗って感慨が押し寄せて、
これからも断固として、生身で野田さんを追い続けようと思った。









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