ル・コルビュジエ展:建築とアート、その創造の軌跡 [芸術]
■ル・コルビュジエ展:建築とアート、その創造の軌跡
会期:2007年5月26日(土)〜9月24日(月・祝)
場所:森美術館
http://www.mori.art.museum/contents/lc/index.html
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□summary
建築界の巨人、近代建築の始祖、20世紀最大の建築家−さまざまな呼称を冠せられるル・コルビュジエ(1887-1965)。彼はまた多くの絵画や彫刻を生み出した一人の画家でもありました。本展ではル・コルビュジエの人間としての魅力を通して建築、絵画、家具までの多彩な業績を約300点の作品で紹介し、これまであまり知られることのなかった素顔のル・コルビュジエ像に迫ります。
(公式サイトより引用)
□impression
展示は大きく4部構成。
1:絵画、彫刻
2:素描
3:建築
4;都市計画
展覧会冒頭に現れるのが、
パリのアトリエを実寸大で再現した空間。
ゆるやかな曲線に、明るい光の差し込む小さな装飾ガラス。
そして広々とイーゼルを置くスペースの向こうには、
落ち着いて調べものができそうな小さな書斎空間があった。
本展示で私が最も印象に残った小さな空間である。
コルビュジエは、午前中はここで絵を描き、午後は事務所で建築の仕事をしていたそうだ。
本業以外の“創造の時間”、コルビュジエの人間らしい行動の一部を垣間みれたような心持ちになった。
後半部の建築、都市計画部分では、
図面、大型模型、映像、
さらには実寸模型に入ったり、出たり…を繰り返すことで
充分な実体感ができる。
キャドセンターと森美術館コラボのキャド映像には圧巻だった。
概念を説明しながらに抜けのある空間を、リズミカルに展開し、
ドミノ倒しのような、心地よさを感じながら、
最後、サヴォア邸の場面ではエリック・サティのジムノペディの
簡素で愁いを帯びた旋律に、心を任せながらのフィニッシュであった。
サヴォア邸
画像:wiki(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BB%E5%83%8F:Villa_savoye_cote.jpg)
ロンシャン教会
画像:wiki(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BB%E5%83%8F:Ronchamp.jpg)
本展示で何度も登場した、黄金比については帰宅してから調べてみた。
▼黄金比
最も美しいとされる比。
a, bの長さで 2 つに分割するときに、a : b = b : (a + b) が成り立つように分割したときの比 a : b
近似値は1:1.618、約5:8
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%84%E9%87%91%E6%AF%94
▼モデュロール
コルビュジエが、人体の寸法と黄金比から作った建造物の基準寸法の数列。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%A5%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB
人は日々様々な事物を向き合い、共存しているわけだが、
本展示では、その暮らしの中にある最も基本的な部分を無駄のない形で気付かされた。
そして、無駄を省く事で見えてくるものは何かと改めて自分自身に問いかけた。
チェコ絵本とアニメーションの世界 [芸術]
■チェコ絵本とアニメーションの世界
会期:2007年2月10日(土)〜4月8日(日)
場所:目黒美術館
http://www.mmat.jp/
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□summary
チェコを代表する作家28名の原画や制作過程の資料、絵本など約250点(展示替えあり)によって、20世紀前半から今日までのチェコ絵本史を、アニメーション制作と絡めながら辿ります。
チャペックやラダなど草創期の作家から、近年チェコで注目を集めている最新鋭の作家たちまで、幅広くご紹介しながら、作品の背景にある民話の世界や、ブックデザインの中に映し出されたチェコ・アヴァンギャルドの芸術運動などを通して、東欧文化の様々な潮流を見つめ直します。また、日本未公開のアニメーション映画もみのがせません。
(本サイトより引用)
□impression
チェコを代表する作家28名の原画や制作過程の資料、絵本、アニメーションとあって見応え抜群の展示でした。
率直にチェコ作家の色感や構図のセンスは、触発されるものがあります。
それゆえ、原画でもってマチエールに触れる価値が大きいのではないかと感じています。
特に印象に残ったのはクヴィエタ・パツォウスカーの作品。
赤に緑という、補色を大胆に組み合わせた色面に
霧粉のような絶妙なグラデーションを、
エアブラシのような軽さでもって、重厚な質感で表現しているのです。
ただでさえ、目を引く作品であるというのに、
凝視すると要所にププっと笑えるコミカルな演出もあって、
いかにそれがコンセプチュアルであるかを発見していく
おもしろさがありました。
その他・・・
作品キャプションの横に、切手のようなものが付着しています。
なんだろう、これ?と思い
学芸員さんに聞いたところ、
どうやら出版社のマークのようです。
それにしても、緻密で凝った技巧を醸すなぁ〜と、
作品以上にそのちっちゃいマークに心惹かれました。
これから行く方はぜひ楽しんで見つけてみてください。
プリンセスの輝き ティアラ展 〜華麗なるジュエリーの世界〜 [芸術]
■プリンセスの輝き ティアラ展 〜華麗なるジュエリーの世界〜
会期:2007年1月20日(土)〜3月18日(日)
場所:Bunkamuraザ・ミュージアム
http://www.bunkamura.co.jp/shokai/museum/lineup/07_tiara/index.html
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□summary
18世紀から現代まで、歴史に名を残す女性達が着用した約100点のティアラを集め、肖像画や写真などの資料展示も加えて、その魅力を多面的に紹介します。欧州の主要な王室や貴族、世界各地の美術館所蔵のティアラをはじめ、ショーメ、メレリオ・ディ・メレー、カルティエ、ミキモト、ヴァン クリーフ&アーペル、コッホ、ファベルジェ、ブシュロン、ブルガリ、ルネ・ラリックなどの作品も数多く展示し、ティアラだけに焦点をあてた展覧会としては日本初となるだけでなく、これほど大規模な展示は世界的に見ても非常に貴重な機会といえるでしょう。(公式サイトより引用)
□impression
昨年から楽しみにしていた『ティアラ展』
女性としてちょっとしたこだわりを持って、初日に訪れました。
開場には、恐らくわたしと同様の思いを秘めているだろう女性仲間多数。
18世紀から現代までの時間軸を追いながら約100点のティアラ。
工芸品特有の規則性や緻密さを観ながらにして
無数の色輝きを放つ宝石の光を拝めるなんて、贅沢極まりない幸せ。
ティアラに追随する絵画を観ながら、
「18世紀の王妃がこれをこうしてノなるほど〜」という想像もしかり、
おこがましくも、これ似合うかしら、あれ似合うかしらと
自分とティアラを重ね合わせる妄想も徐々に膨らませて。
ハチドリの細く長い羽と貴金属を融合させる繊細さに引き込まれ、
宝石の放つ無数の光に目をやられながら、
ルンルンに観進めていた。
「トパーズ色の〜♪季節のなかで〜、なか〜で♪」
でも、、、、、
ふと、展示内容に心底心を許していない自分に気づいてしまった。
はて?
ここまで最上級の贅沢品を目の当たりにしながら・・・
何が足りないのか。
最後、日本のティアラエリアで
それが明らかになる。
皇后美智子さま、雅子さま、紀子さまの映像。
白いドレス姿に輝く頭上のティアラ。
女性の栄光の象徴とされるティアラと、いわずもがな最高の権威を保有した女性の佇まい、
それが映像を介してぴたりと重なった瞬間でした。
序盤からティアラを観覧し進めてきて、
どうも自分のなかでティアラと女性が結びついていなかった。
現代の暮らしにおいてそれを想像できないのは当たり前といっては当たり前なのだが、
架空の中でしか存在し得なかった女性の栄光というものが、
現実のものであったのだと、映像を観てして感じた。
「モノの権威にヒトの佇まいがマッチする」
それって、小さなところではブランド物にも言えたりするのかなと思いますが
そう考えると、ヒトとしてのわたしとぴたりとマッチングするモノって果たして何なのかなぁ。
大きなところからモノとヒトを見つめ直す展示となりました。
ロバート・サブダ しかけ絵本の世界展 [芸術]
■ロバート・サブダ しかけ絵本の世界展
会期:2006年12月13日(水)〜12月28日(木)
場所:西武池袋本店イルムス館2階 西武ギャラリー
http://www.shikake-ehon.jp
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□summary
日本発公開となるロバート・サブダの初期の作品、プライベートな愛用品、制作のための元資料、習作、スケッチ、作業工程を、このたび再現されるニューヨークのアトリエと共に展示。
□impression
わたしがロバート・サブダを知ったきっかけは
しかけ絵本ならぬ、しかけポストカードからでした。
二つ折りにした紙と紙の間に隠された隙間をそっとと開くに従って
三次元の立体がよいしょと飛び出します。
そのギミックを気にしながらも、紙と紙の間に顔を挟むように鑑賞すると
薄い薄い紙の重なりが互いの支点を確かめあいながら立ち上がり…
そしておとなしく息をひそめていくのです。
会場中盤では古きヨーロッパのしかけ絵本も鑑賞することができました。
開くと立ち上がる「飛び出す絵本」に加え、
アコーディオンのように等間隔に伸ばした中央に丸い穴のある「のぞく絵本」もありました。
日本には「のぞく絵本」が少なかったせいか、古いのに新しさを感じました。
今はいろいろな技術が発達していて、アナログの魅力を感じる機会が減っているわけですが、
ものの出来上がる過程をじっくり体感できることの慈しみをやんわり感じることができました。
こどもこそいない私ですが、こどもに買ってあげたいなと思うところです。
ヤン・シュヴァンクマイエルのアリス展 [芸術]
■ヤン・シュヴァンクマイエルのアリス展
会期:2006年11月4日(土)〜12月4日(月)
場所:チェコ大使館内 チェコセンター
http://www.esquire.co.jp/event/2006/svank/index.html
http://www32.ocn.ne.jp/~rencom/
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□summary
1934年、チェコスロヴァキア(現在チェコ共和国)のプラハに生まれる。数々の劇場で舞台美術家・舞台監督として活躍した後、1964年クラートキー・フィルム(トルンカスタジオ)でフリーでオブジェクトアニメ(人形・粘土・日用品など)を撮り始める。
本展示にはヤン・シュヴァンクマイエル氏がイラストを手がけた新作絵本『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』(12月上旬発売予定)の原画が並ぶ。
□impression
またまた今日も会期ぎりぎりでいってきました。
会社から徒歩圏内のチェコ大使館内までお昼にこそりと。。
薄暗くこじんまりとした、キーンと静かな地下部屋での展示。
赤い絨毯が印象的でした。
この場所、地下世界の夢の中へと落っこちていくアリスの話と繋がるようで
ちょっといいです。
地下階段の踊り場には新作映画のポスターが!!
肝心の作品点数は少なめ。
会期中入れ替えをしていたのかもしれません。
全部見れなくて残念。
線画と写真のコラージュをひたすら眺めました。
背景は同じだけど、コンポジションが異なるモノのバランスや
紙と紙との重なりや小さな凹凸、
鉛筆の軽妙且つ緻密な線、
線の湾曲部分のカッターの入れ込み具合等…
印刷では観られない、原画で観るところの醍醐味を感じることができ、なんとも素敵でした。
一緒に行ったO氏は、絵本の現画の大きさについて感想を述べていて、
確かに、あの大きさで作品を鑑賞する迫力はなかなか体験し難いものだったと感じました。
大きなサイズの作品を広角で観ると自然と奥行きを感じることができる。
不条理と非現実の入り乱れた中に自分がいるような体験でした。
そもそものところで
『不思議の国のアリス』の世界感はすこぶる興味深い。。
来年まで引きずる要研究課題のひとつです。
素描する人々−或る日の洋畫研究所 [芸術]
■素描する人々−或る日の洋畫研究所
会期:2006年10月14日(土)〜12月3日(日)
場所:目黒美術館
http://www.mmat.jp/
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□summary
1903(明治36)年、前年に京都高等工芸学校の教授として京都に赴任した浅井忠は聖護院洋画研究所(1906年、関西美術院に発展)を設立。
本展では、浅井指導下の聖護院研究所・関西美術院で描かれた、いわゆる「木炭紙」に描かれた着衣・裸体の人物素描を、複数の作家について集成。
●主な出品作家〜安井曾太郎、黒田重太郎、澤部清五郎、田中志奈子、千種掃雲、都鳥英喜、足立源一郎、西川純 (出品作品数=約150点)
□impression
関西美術院での人体デッサンを集めた展示。
着衣モデルから裸体モデルへと遷移していく。
必ずしも時間軸上のバランスや完成度やうまさを露頭しているものではない。
「二枚以上のデッサンから何が見えてくるのか」という視点で回覧した。
美術院で制作しているためか異なる作家間での構図やタッチは酷似しているように思った。
それぞれのデッサンに於ける“輪郭を縁取る画風”には初め目が留まった。
というのは日本画家たちにとって何日も同じモデルを素描することに対して苦痛があったため早く輪郭を取って仕上がりを早くしただそうだ。
クロッキーに近い要領で、様々なポージングをした明治時代のモデルの佇まいは力強かった。
裸体モデルのポージングは凝っていて、特に正座から足を崩したようなポーズでの皮膚や筋肉のもりあがりは生々しかったのと同時にさすがにこの描写は難しそうだなーと感じた。
そして、裸体で髪結いをした女性の「真っ黒でツヤのある髪」と「白くタルミのある肌」の質感のコントラストは無骨にも美しかった。
私自身、裸体素描の経験は数えるほどしかないのですが
改めてその必要性に駆られた日でもありました。。
写真は目黒美術館フロントにある『カプセル文化講座 石膏デッサン入門』のガチャガチャで
手に入れた石膏像フィギア。小さいのにほんとよくできてるなぁ。
ラボルトのほっぺのあばたも緻密に表現されている。
デコラティブな「アリアス」好きです。面を感じたい「マルス」も欲しい。
難易度の高い「ブルータス」狙いで4回挑戦してみたものの、「ラボルト」→「メヂチ」→「ラボルト」→「ラボルト」。
うわぁ〜、ラボルトばかり!基礎力が足りないってか!!
また出なおします。
▼カプセル文化講座 石膏デッサン入門
http://my.tomy.co.jp/yujinp/meisai.asp?n=4904790936098
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次回目黒美術館、2007年2月10日(土) 〜4月8日(日)の
『チェコ絵本とアニメーションの世界』は
今からとっても楽しみ。たのしみ。
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ルソーの見た夢、ルソーに見る夢 [芸術]
■ルソーの見た夢、ルソーに見る夢
アンリ・ルソーと素朴派、ルソーに見せられた日本人美術家たち
会期:2006年10月7日(土)〜12月10日(日)
場所:世田谷美術館
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/
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□summary
アンリ・ルソーはパリ市の税関職員を務める傍ら仕事の余暇に絵を描く『日曜画家』として知られる。技術力は未熟であるが、生前はその技巧的ではない画風がアポリネール、ピカソなど少数の
理解者によって評価された。
世田谷美術館はルソーをはじめとする素朴派の収集に力を入れているそうだ。
□impression
展示は大きく4部構成。
1:ルソーの作品
2:素朴派の作品
3:ルソーの影響を受けた作品
4:ルソーを感じさせる作品
素朴派とうたわれるルソーの作品。
間近でマチーエールを観察すると確かに技術的にうまくはない。
逆にそのバランスの崩れたコンポジションが新鮮で強く印象に残った。
美術館特有の変なエネルギーを使わずに観覧できるという点でとても優しい。
ただし、ルソーの影響を受けた作品に関してはルソーとの類似性は見出せるが
それ以上のインパクトは感じられなかった。
ルソーの作品中、純粋・丁寧に作品を作り続けている様が見て取れるからこそ、
技巧を上回る特異性を感じられたのだが…
そんな、後半ゆる巻きで回覧を進める最中、
ばったりここで、
植田正治氏の作品にお目にかかる。
そして最後は有元利夫氏の作品に拝む。
ゆるゆると回覧を進めた今回の展示でしたが
本来美術館はゆっくり片肘はらずに回覧したいものです。
8割型思考をめぐらせながら、頭いっぱいで鑑賞する機会が最近増えましたが、
この展示には素直に優しさを感じたり、面白さを発見して愛でたりする楽しさがあると思いますよ。きっと。
熊田千佳慕展/山名文夫と熊田精華展 [芸術]
佳慕展 花、虫、スローライフの輝き
■ 山名文夫と熊田精華展 絵と言葉のセンチメンタル
会期: 2006年6月24日(土)〜9月3日(日)
午前10:00〜午後6:00(入館は5:30まで)
月曜休館[ただし、7月17日(月・祝)は開館、7月18日(火)休館]
会場: 目黒区美術館
http://www.mmat.jp/
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□about
熊田千佳慕(くまだちかぼ 1911生まれ 95歳)は、第二次大戦前デザイナーとして、また戦後を絵本作家、昆虫や花を描く美術家として活躍を続けてきました。詩人・熊田精華は実兄で、その親友である山名文夫に千佳慕はデザイナーとして師事しました。
(公式サイトより引用)
□impressions
とても楽しみにしていた展覧!
それなりに時間がかかるかなと推測していましたが、
見応えありすぎで時間超過。いくらあっても足りないほど。
熊田千佳慕氏の作品に於ける
緻密に一本一本の線を織り成す作風には、
淡いレイヤーの中でくっきりとしたそのもの自身の輪郭が浮かび上がってくるようで
オブジェクトとしての昆虫、草花のひとつひとつをこころから大切に思って観て取ることができ、単に鑑賞者として凝視するに留まらず、軽やかに抜けるような優しい心持ちが持続されました。
中でもレンゲソウの花の描写は花びら管束部分の、色の移ろいの緻密さが特に印象的でした。
みつばち系の仮想作品には思わずププっと笑いが漏れる感覚を覚えて、突如絵本が読みたくなり、その後ふらっと敷地内区民図書館の児童書コーナーに立ち寄ってしまうことになります・・・
※ちなみによんだえほんはHさんオススメの「かんがえるカエルくん」と「まだかんがえるカエルくん」
横道それましたが、
山名文夫氏と熊田精華氏に触れるとまだまだ書きたいことがあるのと
煮詰まり切ってないのとでまた後日レビューするとします。
熊田千佳慕氏の細密さに加え、さらにこの二人の書簡…って
館内で必死に書簡を読み進めて参りましたが細かいエピソードがこれなかなかおもしろいです。
わたしの最愛する文庫本 『錦繍』(著:宮本輝)が書簡体であるのも重なって
ちょっと、われ発見気分(陶酔?)に陥りながらの日々です。
会期、9月までですし。。
ぼちぼち鑑賞しましょう。
エルンスト・バルラハ展 [芸術]
ドイツ・表現主義の彫刻家
エルンスト・バルラハ展
会期: 2006年4月12日(水)-5月28日(日)
月曜休館午前10時〜午後5時(入館は閉館の30分前まで)
会場: 東京藝術大学大学美術館 3F
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2006/barlach/barlach_ja.htm
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□about
20世紀で最も注目される彫刻家・版画家・劇作家の一人、エルンスト・バルラハ(1870〜1938)を紹介する日本で初めての回顧展。
生涯「人間」をテーマとし、生きる喜びをはじめ、貧困や飢餓、戦争など社会的な重いテーマを扱っています。
バルラハは、ロシアに旅して大地に生きる農民の姿に感動し、大きな影響を受けます。また、「老子」を愛読するなど東洋の文化にもあこがれを抱いていました。しかし台頭してきたナチによって弾圧され、不遇な晩年を送り、さびしく北の港町ロストックで世を去りました。
□impressions
会期最終日の今日、やっとこさ行って参りました。
木彫作品の保護の為であろうか…?
会場の空調はかなり効き、
キーンとした清閑な雰囲気の中作品群を見てまわります。
木彫り作品に見られるどっしりとした腰の坐りやその表情からは
日本の仏像をありありと彷彿させられ、
一貫して作品の宗教性を感じました。
印象的だったのは没年1年前に制作された「笑う老女」(1937)。
彼はナチに烙印を押された事実を受け止め、
それを大きくのけぞりあざ笑うかのようにも捉えられる作品。
先見の明を感じ「笑う」という感情。
彼自身が作品を感情でぐっと抱え込んでいる余情が冷ややかに伝わり、
その悲しさや、怒りが、なんとも尾を引いて残りました。
絵画のマチエールとはまた異なる3次元としての
その感情の突くところを感じる意味でも、貴重な回顧展でした。
都市に生きるアール・デコ [芸術]
都市に生きるアール・デコ
場所:資生堂本社ビル House of SHISEIDO
期間:4/1(土)〜5/28(日)
時間:11:00〜19:00(入館は18:30まで)
休館日:月曜日
入場料:無料★
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ハウス オブ シセイドウ今年2回目の企画展「都市に生きるアール・デコ」に行ってきました。
↓1回目はこちら↓
2006.2.7 − 3.19 KARAKUSAの森〜トード・ボーンチェ、唐草と出会う
『アール・デコ』ってそもそも・・・
フランス語の『アール・デコラティフ』(装飾芸術)に由来し、
明確な秩序を持った幾何学的構成を特色としているわけです。
私自身、どこからこのアール・デコ様式に興味を持ち始めたのか後をたどると
やはりショートボブを施した女性をシンボリックに魅せるその資生堂スタイルが大元。
その後は細部に立ち戻り唐草の文様。そして工芸、建築へ…といった経緯。
華麗なデコラティフ、、、、。
その奥に潜む秩序を持った幾何学。
前回の企画展では妄想赴くままにKARAKUSAの森へスリップしてしまったわけだが、
今回はさすがにそうはいかず
それこそ定規やコンパスを意識せざるを得ない作品群。
そして、なんと
山名文夫氏の手掛けた扇子に初めてお目にかかりました。
薄桃色、水色や薄緑色の長方形のみが折り目正しく円弧に敷き詰められた模様。
ステンドグラスを思わせるようで、
一般に知る彼の作品にない特異性が新鮮でした。
ああ、ひたすら、精巧なり。
合理的な秩序でありながら、
優雅で表現に溢れるアール・デコ。
ふ〜〜〜〜〜、
やはりため息ものです。