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エルンスト・バルラハ展 [芸術]

ドイツ・表現主義の彫刻家
エルンスト・バルラハ展
会期: 2006年4月12日(水)-5月28日(日)
月曜休館午前10時〜午後5時(入館は閉館の30分前まで)
会場: 東京藝術大学大学美術館 3F
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2006/barlach/barlach_ja.htm
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□about
20世紀で最も注目される彫刻家・版画家・劇作家の一人、エルンスト・バルラハ(1870〜1938)を紹介する日本で初めての回顧展。
生涯「人間」をテーマとし、生きる喜びをはじめ、貧困や飢餓、戦争など社会的な重いテーマを扱っています。
バルラハは、ロシアに旅して大地に生きる農民の姿に感動し、大きな影響を受けます。また、「老子」を愛読するなど東洋の文化にもあこがれを抱いていました。しかし台頭してきたナチによって弾圧され、不遇な晩年を送り、さびしく北の港町ロストックで世を去りました。

□impressions
会期最終日の今日、やっとこさ行って参りました。

木彫作品の保護の為であろうか…?
会場の空調はかなり効き、
キーンとした清閑な雰囲気の中作品群を見てまわります。

木彫り作品に見られるどっしりとした腰の坐りやその表情からは
日本の仏像をありありと彷彿させられ、
一貫して作品の宗教性を感じました。

印象的だったのは没年1年前に制作された「笑う老女」(1937)。
彼はナチに烙印を押された事実を受け止め、
それを大きくのけぞりあざ笑うかのようにも捉えられる作品。
先見の明を感じ「笑う」という感情。
彼自身が作品を感情でぐっと抱え込んでいる余情が冷ややかに伝わり、
その悲しさや、怒りが、なんとも尾を引いて残りました。

絵画のマチエールとはまた異なる3次元としての
その感情の突くところを感じる意味でも、貴重な回顧展でした。


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コメント 3

Hk

ホント、ギリギリだったようですが、間に合って良かったですねぇ~(^_-)g
観に行ってくれた人たちは大絶賛なんですが、いかんせん地味な展覧会だったというイメージが先行しまったようです。
けっこうこの展覧会、苦節10年くらいでやっと実現した展覧会なんですが、私をはじめ古くからバルラッハの仕事に惹かれてる人たちにとっては待望の展覧会だったわけです。カタログにも執筆してる朝日新聞のKさんは、この展覧会が決まった数年前に、いの一番に知らせてくれました。
しかも今回は偶然にも同時期に同時代のケーテ・コルヴィッツ展もやってる。ドイツ年も最後の最後でやっと中味のある展覧会を実現できたと安堵してます。
ところでバルラッハは彫刻家としてばかりの仕事でなく、版画、陶芸なども手がけつつ、演劇の戯曲も多く手がけているのです。それらは権力者へのシニカルな批判や抵抗という部分では、ブレヒト同様ナチからマークされる起因となったけど、彼はそれ以上に深い人間性の根源にある生への衝動、社会との対峙を表すべき苦闘をしている。彫刻でもそうだけど、一見、宗教性にも似た崇高さや神々しさも感じられるのだが、実は宗教美術などに見られるそれではなく、絶対的な神の存在をも凌駕する生々しい人間の内面に存在するものとして表出しているのだ。
その壮絶な人間社会を見据え続けた芸術家としての闘争は、現実の彼の人生においても激しく作用してしまい、決して幸福で安定した人生ではなかった。
作家としてのスタートもアカデミズムとは袂を分かち、モデルの女の子に手をつけて出来た私生児を(永い親権裁判の後)引き取り、さまざまな職を転々とし、自分のパトロンと母親は発狂し自殺、その後の支援者の奥さんとねんごろになっちまうわ(しかも離婚させて三人で一緒に暮らしたり…)、貧困と政治的圧力にあって自身も心臓疾患でヘロヘロに、それでも死ぬまで頑固者として作品に取り組む…
と、すさまじく破天荒な人生であり、単純にドイツ表現主義の巨匠などという枠では括れない存在である。
それにしても芸大美術館の展示は、作品の置き方に問題があり、ドイツでみるバルラッハの作品とはかなりギャップを感じた。作品が一点一点集中して見るには数を詰め込み過ぎで、版画や素描とも混ぜこぜにしない方が良いパートがあった。もっとゆったりした空間で彫刻作品の持つオーラを最大限に引き出してほしかった、というのが正直な感想。
なので、この次の巡回先である山梨県立美術館の方が空間的には余裕もあるし、展示もちゃんとできるだろうから、もう一度見に行く価値もあるんではないかと検討中(ーー;)
by Hk (2006-05-29 12:16) 

nakashi

>Hk氏
そうなのです。オススメされていたにも関わらずギリに行ってきました!
Nちゃんはもう行ったよ~と得意げでしたし。。。(笑)
そして、いろいろ質問しようと思ってましたところ、
さっそくの解説ありがたや〜
改めてそれは人間であるという事実を受け止めたいです。
by nakashi (2006-05-29 22:17) 

髭彦

はじめまして。
「エルンスト・バルラハ展」を拝見し、バルラハ展を詠った拙い短歌にTBさせていただきました。
よろしければお立ち寄りください。
by 髭彦 (2006-05-29 23:30) 

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