SSブログ

トリスタンとイゾルデ [演劇]

■トリスタンとイゾルデ
作: リヒャルト・ワーグナー
作演:宮城聰
翻訳: 原田敬子
出演:美加理、阿部一徳、吉植荘一郎、大高浩一、中村優子、本多麻紀、大内米治、片岡佐知子、諏訪智美、鈴木陽代、加藤幸夫、桜内結、池田真紀子、石川正義、塩谷典義、司田由幸、山縣昌雄、森山冬子
会期:2006年7月24日(月)〜30日(日)
場所:東京国立博物館 庭園 特設舞台(野外公演)
http://www.kunauka.or.jp/jp/index.htm
---------------------------------------------------------------------------------
□story
1857年から1859年にかけて作曲されたリヒャルト・ワーグナーのオペラとして名高い『トリスタンとイゾルデ』。宮城聰氏の手によって新たに作演され、2001年の初演を経て今回再演となる。

□impression
レビュー遅すぎです。私。
演劇推進委員会といたしましては、早くも2006年お芝居ランキング(わたしの独断と偏見best3)の座に
確実にランクインするであろう作品を観たにも関わらず…

場所は前述通り野外公演。
東京国立博物館 庭園の特設舞台です。(http://www.tnm.jp/jp/guide/map/index.html
丁度本館の裏手にあたり、急傾斜の客席目下には碁盤目(タテ3目×ヨコ6目)に
はり巡らされた木の舞台があります。奥には真っ黒に広がる池。そしてうっすら茶室、樹林…。
舞台升目部分はガラス版で透明。一つ一つの升の下には青白い照明が設けられています。
舞台左手には舞台に繋がる1本の橋立があり、そこから役者が出ハケ。

舞台だけで、おもしろさを感じてしまうところですが
ク・ナウカのその演出の手法も独特。
ひとつの役を“ 語り(speaker)”役者と“動く(mover)”役者とが別に演じることで、
その役柄が如実に表現されます。
moverは表情も変えず人形のように鈍化する動きにひたすら息を込めます。
speakerは着席しているのがままならない程にダイナミックでリズミカルな台詞を放出させます。

役者の衣装は全てアジア風に置き換えて演出されるため、
イングランドのトリスタンは紺色+帽子で日本の軍人の様、
アイルランドの姫イゾルデは紅色の琉球風の裾に重さを感じる着物であり、2人が異なる島の出身であることがわかります。

後半部、トリスタンとイゾルデの2人舞台は鳥肌ものに美しく、
息も唾も飲みこめません。といったかなり息苦しい状態かと思いきや
片肘はらない野外舞台の開放感が絶妙にマッチしてとても気持ちよく見られました。
美加理さんがただもう世俗を超越した天女なんだかなんなんだかわからないほどに
美しすぎて、光とともに私もエスケープして現実に戻ってこられません状態です。

最後、照明でパーっと池を照らされた時、水上に花茎を伸ばした蓮が見え、
さらに心持ちが軽く高揚していく形でのクライマックスでした。
…それからというものの、心象に則してこのままこちらの世界へいっちゃいたい感が数日頭から離れず、日々結構な割合で語り手の壮快なリズムや動きがすこぶる鈍化された世界観が舞い戻ってきます。

いやぁ。ほんと、次行くときは誘います!(誰?)


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。